包装で見えたお客様目線
包装で見えたお客様目線
ワクワクの仕掛け人、マーケティングコーチの岩井洋美です。
先日、お遣い物のクッキーを買いに行ったときのこと。
「これを2つください。それで、リボンをかけてもらえますか?」
と頼んだ私に、
「これはこのまま(包装紙のまま)の商品なんです」
と店員さん。
同じ包装紙にリボン掛けの商品があるのを見た私は再度依頼。
彼は「リボンをしない商品ですけど」ともう1度前置きをして
とりあえずリボンをかけ始めてくれたのですが、
頭をひねりながら困った様子でこう言いました。
「シールにかかっちゃうんですよね…。
リボンは斜めじゃなくて十文字掛けならできますけど。」
リボンは箱の左上と、右下にかかるようになります。
この右下の裏側に賞味期限や製造元などを記したシールが貼ってあるために
賞味期限を隠してしまうというわけです。
「賞味期限のシールが見えないようにリボンをしてはいけない決まりがあるんですか?」
と聞いた私に
「賞味期限が見えないと、食品の安全性が…ゴニョゴニョ。」
とシドロモドロに答える彼。
リボンのかけ方にこだわる必要もなかったのですが、
お客さまの要望に応えられない理由がまったくのお店目線だったことが腹立たしくて
私は「斜め掛けリボン」を譲らなかったのです。
すると彼はこう言いました。
「逆にしてもいいならやりますけど」
つまり、箱の上下を逆さまにすれば右下の裏側に貼られたシールは、
右上になります。
裏を返せばシールが逆さ向きでも、正面からはわからないというわけです。
これ以上彼とのやりとりは時間の無駄と思って逆さ向き提案を受けいれましたが、
さすがの私も我慢できずに言ってしまいました。
「それって、お店の都合ですよね。お客様の要望があってもお店の都合優先ですか?」
彼はまた食品の安全性を繰り返し、この質問には答えられませんでした。
もしかしたら、この質問の意味さえ分らなかったかもしれません。
まったくお客様に目が向いていないということに気づいていませんから。
誰もが知っている全国展開の有名店です。
包装紙のロゴだけで、お店も商品も浮かぶぐらいブランドとしては確立されています。
それだけにがっかりでした。
だから、たとえ規模で勝負することはできなくても、
本当のお客様目線を徹底的に考えて実践すれば
小さな規模であってもものすごいブランド力になる
ということです。
件の彼、私の背中越しに力なく「ありがとうございました」と
取ってつけたように言いました。
彼にとっては、ただの口うるさいクレーマーだったのでしょう(苦笑)。
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