新札の思い出と物事の捉え方
新札の思い出と物事の捉え方
ワクワクの仕掛け人、マーケティングコーチの岩井洋美です。
先日あるセラピストさんからこんな話を伺いました。
お客さまへのおつりは新札で、そしてほんの少しの香りをつけてお渡ししている
とのこと。
ほのかな香りに気がつかないお客様もいらっしゃるそうですが、
「お財布を開けた時に『ふわっ』と香りがしたら
また思い出していただけるかもしれないから」
とそのセラピストさんはおっしゃっていました。
ほのかな香りの新札をお渡ししていたところ
お客さまも新札で払ってくださるようになったので
今ではおつり用の新札を両替しなくても済むそうです。
「新札」と聞くと思いだすことがあります。
私が銀行の窓口で働いていた若かりし頃のこと。
当時、喜劇俳優として有名なその人(仮にAさんとしておきます)は、
ご自分で銀行の窓口に来ていました。
そして、Aさんが来ると必ず言われることがありました。
「これは、全部千円の新札で。」
Aさんがお持ち帰りになるお金は、いつもいつも新札。
それも1束、2束という単位です。(千円1束=10万円)
窓口である私は毎回思いました。
「またか…。」
たかが新札で持ち帰るぐらい大した問題ではありません。
でも、ちょっとした裏事情がありました。
当時、銀行には新札の用意が限られていました。
お金を管理するセクションでは、1日に使用する分をしっかり管理していたわけです。
だから急にたくさん必要となると、私たち窓口は文句を言われたり、怒られたり。
時には半分しか新札に変えられないと言われたり。
だから、Aさんの両替を快く思えませんでした。
今ならわかります。
新札はAさんの心づけとしてお使いになるものです。
「いつでも新札でお渡しする」ということが、
Aさんの心遣いだったことも察することができます。
「大入り袋」のようなぽち袋を見せていただいた記憶も
おぼろげながらありますから。
ところが当時の私は自分のことしか考えていませんでした。
新札の両替⇒今日も千円2束か⇒また怒られる⇒
別の窓口の人のところに行ってくれないかな
きっとそれはAさんにも伝わっていたと思います。
Aさんの方こそ「新札で」って言いづらかったかもしれません。
残念ながらAさんは亡くなられましたが、
昔の映像などで見ることがあると本当に申し訳ないことをしたなと今でも思い出します。
お客様の要望に応えられないような銀行のシステムにも
問題はありますが、もっと問題なのは物事の捉え方。
Aさんを「新札ばかり要求する人」と思えば、
自分が怒られる原因を作っているだけの人です。
あくまでも捉え方の矢印が自分に向いています。
Aさんが「その新札をどう使うのか」と思うことができたら、
捉え方の矢印はAさんに向いたはずです。
少なくともAさんに対して「またか…。」はありません。
「新札の大入り袋をもらう方は、きっと喜ばれますね。」
これぐらいのことは言えたかもしれません。
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